バズ・マーケティングはステマではない
バズ・マーケティングとは、バズを発生させたり、発生したバズを増幅することによって、売り上げを作るというマーケティングだ。
その一例として、AKB48グループが、個別握手会やグーグル・プラスを通じて、大量のバズを発生させて、人気を維持してきたことを紹介した。
そして今や48グループのメガ・ハブとなったSKE48メンバー松村香織の例から、どのようにバズが広がっていくのかを見た。
これを見るとわかると思うが、バズを発生させたり広めたりするのは、あくまでも一般の人間であり、有志だということだ。
メイヴンやバズ・ハブ、コネクターといった人々は、それで収入を得ているかどうかに関係なく、あくまでも自分が良いと思って情報を伝え、自分の言葉で熱意を持って語っている。
だからこそ人々に信用されるわけであるし、バズが広がるというものだ。
なのでバズ・ハブにあたる人を探して、その人にお金を払って情報を広めてもらういわゆる「ステマ」とは全く違う。
ステマはステルス・マーケティングの略で、バズ・マーケティングと同様に口コミを利用する方法だが、全く似て非なるモノだと考えないといけない。
というのもステルス・マーケティングというのは、実際にはまだ人気がない商品やサービスを、人気があるように見せるマーケティング方法だからだ。
ステマでは、「サクラ」を使って行列を作ったり、口コミサイトに良い口コミを書き込んだりして、実際にはまだ人気がない商品やサービスを、さも人気があるように見せかけて集客する。
これはあきらかに偽装工作であり、実際に商品やサービスを利用した人が期待外れだった場合に悪いバズを生み出すので、絶対にやるべきではないマーケティング方法だろう。
期待値が高いと、バズは生まれない
バズ・マーケティングは、ステルス・マーケティングではない。
ステルス・マーケティング(ステマ)では、まだ人気がない商品やサービスをさも人気があるように見せる方法だが、これはバズ・マーケティングの真逆の方法で評判を下げかねない非常に危険な方法だ。
というのもステマによって、実際に商品やサービスを購入した人が、その商品やサービスに満足するかどうかはわからないし、逆にステマによって期待値を高めてしまった分、悪いバズが発生する危険性も大きいからだ。
悪いバズは良いバズの何倍も広まりやすいから、期待外れだったらあっという間に評判が落ちてしまい、結局この仕掛けの効果は長続きせず、ぽしゃる。
ステルス・マーケティングは、インターネットがない時代なら、話題作りとして通用した方法かもしれないが、今や不正な方法として認知され、EUなどでは、すでに禁止された方法だ。
何度も書くが、バズというのは、事前の期待値を、購入後の効用が上回るからこそ起こるものであって、バズ・マーケティングではどの本でも、事前に期待値を高め過ぎないことが重要だとしている。
要するにバズを発生させるには「(他人に語りたくなるような)サプライズ」が必要で、そのためには、提供するサービスをワザと隠すことも必要なのだ。
神田さんの本(口コミ伝染病)でも、「食後のコーヒー、ケーキ付き」とメニューに書くと、出てきたケーキが小さすぎるとか不味いとか文句が出るが、メニューにはケーキのことは書かずに「日頃の感謝の印として、本日はケーキをサービスさせていただきます」と言って出せば、小さなケーキでもバズが発生するという話があったね。
このケーキも何種類か用意して、その中から選んでもらうとなお良さそうだが。