お互いに似た者はクラスターを作る
自分で縁を選んで生きる多縁・連帯社会。
多縁・連帯社会では、自分で縁を選んでそれを維持しなくてはいけないので積極的に縁を結ぶことが求められる。
ではどのように縁ができるのかというと、一つ目は「似た者同志」である。
似た者同士は縁ができやすいし、さらに集まってクラスターができやすい。
テキストにも、ネットワークの原理(2)(3)として、「似た者同士は、結びつきやすい」「お互いに似た者はクラスターを作る」というのが載っている。
これは「同類原理(homophily)」と呼ばれるもので、年齢や性別、出身地や学歴、職業が同じ人はつながりやすいということだ。
これは持っている知識や情報の共通度が高く、情報の非対称度が小さくて話が通じやすいからだろう。
話が通じやすいと、細かなところまで話せるし、前提の説明もたとえ話が使えるので非常に楽になる。
逆に年齢や性別が違うと、持っている情報がかなり異なるし、価値観もかなり違うので、情報の非対称度が大きい。
また何か話そうとしても、関心事がまず違うから、会話できる共通のテーマ探しから始めねばならない。
それから関心事や性格が似ている人も、群れやすいという。
たとえば地域内で小学生の子供を持つ親は、つながりやすい。
子供に関する悩みは多く、また交換できる情報も多い。
同じ趣味を持つ人も、同じチームを応援する人も、同じアイドルを応援する人も、共通の話題があるのでつながりやすい。
さらに性格が似ていると、感情の起伏のタイミングが合うので、一緒にいても楽しいし、充実感がある。
サッカーファンなどの様子を見れば、敵陣に攻め込んでゴール前にボールが出たときや、逆に敵に攻められたときなどは、皆同じ様に反応するが、ああいう感じをイメージすると良いかも。
自分と同じような反応をする相手は、親近感が湧きやすいので、つながりやすい。
同じ目標を持つ者同士はつながりやすい
年齢や性別、出身地や学歴など、共通点が殆どないように見える人同士でも、ツナガリやクラスターができることがある。
趣味や仕事も違うのに、なぜかつながっている人もいる。
いったい彼らはなぜつながっているのか、…といろいろ調べてみたら、彼らは共通の目標をもっていたという。
つまり「同じ目標を持つ者同士はつながりやすい」のだ。
人間は、どうしても達成したい目標があれば、達成するために必要な情報を探す。
そして情報を求めて出かけていくと、どこかで同じ目標を持つ人間に出会って知り合いになる。
たとえばアイドルを目指す女の子は全国にいるが、色んなオーディションに参加していると、たびたび顔を合わして知り合いになり、いろいろ連絡を取り合うようになったりするという。
テレビ局の女子アナウンサー志望者なども、同じように知り合いになり、情報を交換するという。
こういうふうに同じ目標を持つ人間は、目標達成のために行動した結果、同じ目標を持つ人間に出会ってつながるわけだ。
これは逆に言うと自分の属するクラスター内に、自分の目標をかなえるための情報がなく、外に出ないと情報が得られないせいだろう。
自分の目標をかなえるためには、自分の周囲にいる人間の持つ情報より、別の人間の知識や情報の方が役に立つため、今まで全く何の接点もなかった人間とツナガリを作ったりするわけだ。
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