常識は、他のクラスターでは非常識

人間は、たくさんの人とのツナガリの中で生きている

 

物心が付くまでは、親兄弟や近所の人とのツナガリの中で育ち、物心が付いてからは、教師などの大人や同年齢の友達とのツナガリの中で成長する。

 

ツナガリが密な塊をクラスターと呼ぶが、家族クラスターと地域クラスターが子供時代に属するクラスターであり、生活範囲の殆ど全てである。

 

なので家族クラスターや地域クラスター内での情報は、生存のための情報であり、子供にとっては「世界の常識」になる。

 

しかし、ある家族内では常識のことであっても、他の家族では全く通じないことも多い

 

ある地域内では常識のことであっても、ちょっと離れた地域では常識でないこともよくある

 

たとえば親が会社員をしておれば、親はたいてい朝早く出かけていくのが普通だが、親が自営業を営んでいたり、午後からの仕事をしておれば、午前中はずっと家にいるのが普通になる。

 

また人気テレビ番組「秘密のケンミンショー」を見ると、隣の県の県民が全く知らないような行事や、隣の市の市民でも初耳のような不思議な料理や謎の習慣が、いくらでもあるってことがわかる。

 

これは

「情報はクラスター内では伝わりやすいが、外へは伝わりにくい」
という性質があるからだが、しかしなぜこんなことが起こるのだろう?



情報が他のクラスターに広がらない理由

ある地域やある集団の中では常識のことであっても別の地域や別の集団の中では知られもしていない

 

こんなことはよくあることだし、成長したり活動範囲が広がるたびに必ず経験することだろう。

 

たとえば小学校に行けば、同年代の色んな子供とその家族に会うし、中学に行けば、隣町に住む毛色の違うやつにも会う。

 

さらに高校、大学と進学するにつれて、自分とは全く違った価値観を持つ人間に出会い、大きなカルチャーショックを受けることになるだろう。

 

つまり同じ地域・同じ国で暮らしていても、そこに住んでる人は全く別の常識を持ち、全く別の価値観で生きているわけだ。

 

ではなぜ、こんなことが起こるのかというと、クラスター内では情報を伝えるのが容易だが、別のクラスターに情報を伝えるのは、かなり難しいからである。

 

クラスターというのは、特定の情報をたくさん共有している集団であるから、クラスター内でうわさ話をする場合、誰それが何をしたという話だけで通じる。

 

ところが別のクラスターにいる人間には、話題の人物が誰で、どのような人間なのかは、知られていないから話が通じない。

 

たとえば「SKE48の松村香織が禿(は)げた」という・ニュースがあっても、SKEファンの間では「最近、いろいろあって大変だったからねえ」で伝わるだろう。

 

ところがSKEやAKBのファン・クラスターに属さない人には、「松村香織って誰?」「禿げたってどこが?」「いろいろあったって何があったの?」など、わからないことだらけ。

 

こんな状態では、伝えたいことがあってもなかなか伝わらない。

 

そしてさらにこの話を聞いた人が、自分の友達にこの話題を伝えようとしても、背景説明が出来ないから、うまく伝えることは不可能だろう。

 

つまりSKEファンやAKBファンのクラスター内では「松村が禿げた」という話題は、あっという間に広まるが、別のクラスターでは全く広まらずに、そこでバズは消滅する。

 

情報が他のクラスターに広がらないのは、こういうわけだったんだな。

 

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