現代社会は「弱い結びつき」が重要
現代社会は、縁を選ぶ社会であり、つきあいたくない相手とは、別につきあわなくて良い社会である。
学校や職場などでは、いじめやパワハラが問題になるが、逃げられないわけでもなんでもなく、悪縁はさっさと断ち切って、より良い縁を結び直せばよい。
不登校だニートだというのは、古い血縁社会や地縁・職縁社会からの視点であり、無理に元の学校へ復学させようとか、サラリーマン生活をさせようという方がおかしいのだ。
実際、たとえ血縁や地縁・職縁があっても、理不尽なことを押しつけられたら、まともな人は、さっさと縁を切って逃げていくようになったし、いったん外に出てみると、外の世界の方がはるかに広いことに気がつくはずなのだ。
そして、多縁・連帯社会になってから、重要になってきたのが「弱い結びつき」である。
「弱い結びつき」とは、普段つきあいが殆どないような、薄い付き合いの結びつきのことであるが、だからといって重要な相談事ができないということはない。
というのも実は、弱い結びつきの方が利害関係がなく、役に立つ情報をもたらしてくれたりするのだ。
クチコミはこうしてつくられるにはネットワークの原理(8)として、「弱い結びつきは意外と強い」としているが、一つの例として「職探しの時に、親しい知り合いの情報より、滅多に会わないような知り合いの意見を参考にする」という話が載っている。
情報は外にある
現代社会は、弱いツナガリが意外と強い力を持つ社会である。
社会学者 マーク・グラノヴェダーの調査によると人々が新しい仕事を探すとき、過半数の人が、親しい知り合いではなく、滅多に会わないような知り合いを利用するという。
というのも親しい知り合いは、自分と同じ生活圏の情報しかもっておらず職を探す際にあまり参考にならないかららしい。
そこで自分の属するクラスターから外に一歩出てみたり、複数のクラスターを行き来している「コネクター」に、何か良い仕事の情報がないか尋ねるというわけだ。
しかし考えてみれば、これはもう当たり前の話である。
というのも現代社会というのはもう、外に出るのが必須の社会である。
自由に職業を選べず、移動も自由でなく、生まれた土地から滅多に外に出ることがなかった時代には、生活に必要な殆ど全てのモノは狭い地域内にあった。
ところが今や、食べ物も、水も、エネルギーも、必要なモノは殆ど地域外にあり、外から持ってこなければならない。
となると地域内に留まっているわけにはいかず、人々は積極的に外に出て行かざるを得ないし、地域外の人とたくさんの「弱いツナガリ」を作らざるを得ない。
そしてこの弱いツナガリを作るのを加速させているのが、インターネットである。
テキストにはネットワークの原理(9)として「インターネットは弱い結びつきを育てる」とあるが、インターネットでは、あまり相手のことを知らなくても、気軽に情報を交換することが出来る。
すなわち弱い結びつきを維持したまま情報交換をする。
インターネット上に無数にあるコミュニティや掲示板では、多くの人々が毎日のように情報を交換したり意見を交換しているが、こういう弱い結びつきを維持するのに、インターネットというのは最適のツールらしい。