ネットワークのハブ(コネクター)はショートカットを作る
バズ・ネットワーク(クチコミ・ネットワーク)で、ルーターのような役割をしているのがバズ・ハブで、バズ・ハブは面白い情報や有益な情報を知ると、それをドンドン周囲の者に伝える。
それによってクラスター内に、様々な情報が広がるわけだが、外部世界とつながっているモデムに当たるのが、「コネクター」と呼ばれるタイプの人たちだ。
テキストでは、ネットワークの原理(6)として、「ネットワークのハブはショートカットを作る」とある。
これは複数のクラスターを行き来している「コネクター」が、クラスターとクラスターをつなぐショートカット(近道)を作るという意味だ。
たとえばたびたび外国に出かけている人は、外国で見つけた良い商品を自国に戻って周囲の人に紹介する。
その評判が広まれば、次は小さなお店や業者がその商品を並行輸入して取り扱い始め、お店に並べ出す。
さらに人気が出れば問屋や流通大手などが、販売代理店となって大々的にその商品を扱い出す。
こうしてその商品を作っている外国メーカーは、自社では何もしていないのに、他国に新しい販路が開かれてしまう。
まさに「ショートカット(近道)」だね。
なので逆に意識的にショートカットを作るということも行われている。
たとえばコンピューターやゲームメーカーは、新しいソフトやゲームの販売数ヶ月前から、ヘビーユーザーや早期購入者(アーリーアダプター)向けに、様々な情報を流したり、イベントの招待状を送っている。
また自動車メーカーは、高級な自動車を購入する会計士や弁護士や医師などのクラスターの中にいる、自動車好きメンバーを探して積極的に情報を流し、特別試乗会などのイベントでプロモーションを行っている。
バズ・ネットワークの10の原理
マーケティングでは普通、セグメンテーションということをする。
セグメンテーションというのは、集団をいくつかの属性で分けて、セグメントに分けることだ。
マーケティングで言う場合は、自社や競合他社の商品の購買者を年齢や性別、職種や学歴、所得レベルや家族構成などで分類する。
そしてどのセグメントに対して、どういう商品やサービスを提供し、どう働きかけるかを考えるわけだ。
ところが現代人は複数のネットワークを持っており、複数のクラスターに属しているから、目標のセグメントに働きかけても効果が出なかったり、逆に全然別のセグメントから反応が上がったりする。
つまりもはや単純なセグメンテーションでは間に合わず、2次元・3次元のセグメンテーションが必要ってことだが、そんなことより、ネットワークに焦点を当てた方が良さそうだ。
ということで最後に、クチコミはこうしてつくられる―おもしろさが伝染するバズ・マーケティングに載っている、ネットワークの10の原理を載せておこう。
バズ・ネットワークの10の原理
- バズ・ネットワークは目に見えない
- 同類は集いやすい
- お互いに似た者はクラスターを作る
- バズは共通ノードを通じて広がる
- 情報はクラスター内に閉じこめられる
- バズ・ネットワークのハブ(コネクター)は、ショートカットを作る
- 身近な人と話す頻度は相変わらず高い
- 弱い結びつきは意外と強い
- インターネットは弱い結びつきを育てる
- バズ・ネットワークは異なる市場(世界)をつなぐ