バズは加速することも出来るし、人為的に仕掛けることも出来る
現代人は、クチコミを利用して、商品やサービスの購入を検討する。
商品やサービスそのものについても、販売しているメーカーや販売店についても、さらには購入後のアフターサービスなども、クチコミで確認してから買うかどうか決める。
なぜなら、似たような商品やサービスは山ほどあるし、扱っているお店もたくさんあるから、どれが良い商品なのか見分けが付かないし、どこで買えば失敗がないかも、わからないからだ。
そのため商品を比較するサイト(ホームページ)や、サービスについて議論する掲示板や口コミサイトがたくさんできた。
また何を買えば良いかを尋ねる質問サイトなども登場し、その中のいくつかのサイトは企業化され、上場されるサイトまで出てきた。
これを見ると、いかに「クチコミ」が世の中に必要とされているかがわかるだろう。
こういう「商品やサービスに対する様々なクチコミ」をひとまとめにして「バズ」と呼ぶことにするが、バズは加速することも出来るし、人為的に仕掛けることも出来る。
バズを作ったり広めたりするのは情報通の「メイヴン」だったり、クラスター内の「バズ・ハブ」にあたる人だから、彼らを探して、自社の商品やサービスの情報を提供し、実物を体験してもらう機会を作るとバズを誘発することができるはず。
ただし、良いバズだけが生まれるとは限らない。
というのもバズは、期待を超えたモノに対して発生するので、提供した商品やサービスがありきたりのモノだとバズは発生しないし、期待を大きく下回るものであれば、マイナスのバズが発生してしまう。
バズは、他人に話したくなるくらいの良い体験がないと、起きないし、広まらないのだ。
悪いバズは千里を走る
バズは商品やサービスに対しての期待値を高める。
知り合いが興奮して話すモノだから、よほどすばらしいものだろうと考えるわけだ。
しかし実際にそのモノを手に入れてみると、知り合いが言うほどでもないな、…という場合も多々ある。
こういう場合に、マイナスのバズが生まれてしまうこともある。
ただしユーザーが知り合いに何を語るのかは、コントロールできないから、これを止める手段はない。
コントロールできるのは、メーカーや販売者の方だ。
メーカーや販売者が、売らんがために、製品やサービスに対する期待値を高めすぎると、実物を手にしたときにユーザーはガッカリする。
「これは画期的商品です」「人生が変わります」などと宣伝されても、実物を手に入れてみたら、普通の商品だったり、異常に使いづらい商品だったりしてガッカリさせられることは多い。
こういうことが起こるとユーザーは「裏切られた」という気持ちになり、マイナスの感情が発生して、悪い評判(マイナスのバズ)が立ってしまうのだ。
顧客満足ではこういうのを「裏切り率が高い」なんて言うが、期待値を超えられない商品はバズが生まれないし、期待はずれ商品はマイナスのバズが発生し、あっという間に広まる。
「購入すると損する」というのは、危険を知らせる情報だから、即座に注意喚起を始める人が出てくる。
また裏切られた・だまされたと思った人は、後々までその感情を持ち続けることが多いので、何度も何度も繰り返し悪いクチコミを生み出して、壊滅的な評判につながってしまうのだ。
悪いバズは千里を走る、ってことだね。
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