情報はクラスター内に閉じこめられる
伝統的な血縁社会や地縁・職縁社会は、閉じた社会であったから、誰がどこで何をしているのかは、周囲のモノに尋ねればすぐにわかった。
ムラの中にいる人は全員顔が知られているから、ムラのメンバー全員に尋ねるだけで良かった。
しかし現代社会は開放的な社会であり、自由に自分が付き合う縁を選んでも良くなった。
さらにインターネットや携帯電話が普及したせいで、全く見ず知らずの人とも簡単に知り合えるようになった。
なので誰がどこで何をしているのか、誰と誰がつながっていて、何を話しているかは、本当にわからなくなってしまった。
だから、たとえば目の前にいる人だけに、何か秘密の話をしようとしても、それが他人に漏れない保証は全くない。
というのも人はそれぞれ様々なネットワークにつながっており、誰か一人だけに何かを働きかけようとしても、ネットワークを通じて情報が筒抜けになってしまうからだ。
では逆に、自分のしたことや話が全て、あっという間に世間に広まるのかというと、それはケースバイケースであり、広まらないことの方が多い。
なぜなら情報にも、広まりやすい情報と広まりにくい情報があり、伝わりやすい情報と伝わりにくい情報があるからだ。
たとえば、同じ学校、同じ職場に所属していても、全く知らない人や、知らない事はいくらでもあるはずだ。
また一つのクラスター内では常識のようなことも、別のクラスター内では全く知られていないと言うことも多い。
これは同じ学校や職場にいても、複数のクラスターができていて、別クラスターの情報は、たいて見えないものだからである。
「情報はクラスター内に閉じ込められる」のが普通で、そこから外の世界に伝わる方が、珍しいケースだと思った方が良い。
バズは共通ノードを通じて広がる
人はそれぞれ、複数のクラスターに属し、見えないネットワークの中にいる。
なので特定の一人だけに話したことも、なぜかみんなに知られてしまっていたり、いつも一緒にいる知り合いについても、全く別の顔があることを他人から知ったりする。
こういう風に特定の情報が伝わったり、逆に伝わならなかったりするのは、情報発信が好きな人、つまり「おしゃべり」な人に、その情報が伝わるかどうかが大きい。
クチコミはこうしてつくられるには、ネットワークの原理(4)として、「バズは共通ノードを通じて広がる」とあるが、伝わった情報に、面白さや有用性があると判断されると、共通ノードである「メイヴン(情報通)」や「バズ・ハブ」「コネクター」がその情報をクラスター内に広めたり、別クラスターに伝えるのだ。
因みにこの「共通ノード」とは、ネットワーク上で情報が必ず通る機器のことで、たとえば家庭のパソコンからインターネットを見ようと思うと、かならず信号が通る「モデム」や「ルーター」などを指す。
複数台のパソコンを繋ぐと、どの信号がどのパソコン向けなのか混乱するので、ルーターという機器が必ず必要になるのだが、この機器は送り先を判断して信号を送りだす機器で、ネットワーク上を流れる様々な信号を交通整理する。
ルーターは信号の整理をする機器なので、各パソコンは必ずルーターに接続しなければならないのだが、バズ・ネットワークにおいてルーターの役割をしているのがバズ・ハブで、外部とつながっているモデムがコネクターってとこだろうか。
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