会話をするのは本能
バズとは商品やサービスについての様々な会話・コメントのことである。
人々は毎日、色んな商品やサービスについて直接あるいは電話で会話し、インターネットの掲示板やブログ、フェイスブックやグーグルプラスなどに熱心にコメントを書き込んでいる。
これらが「バズ」と呼ばれるモノで、良いバズが発生する商品やサービスは売れるし、悪いバズが発生すると、その商品やサービスは売れなくなる。
ではこのバズは、いったいなぜ発生するのか。
「クチコミはこうしてつくられる」という本には、6つの理由が挙げられている。
会話をするのは本能に組み込まれているから
バズが発生する理由の最初に挙げられているのは、「おしゃべりをするのが人間の本能だから」だという。
人間には、文字の読み書きはできなくとも、言葉を覚えて使う能力はみんな持っている。
なので人間が他人と話すのは、能力を持っているのだから当たり前のことである。
そして人間がなぜ言葉を使うのかというと、人間が集団で暮らすタイプの生物だからである。
集団で暮らす生物というのは、エサがあればみんなで集まり、危険があればみんなに知らせて逃げる。
たとえばカラスはえさを見つけると、仲間を呼んでくる。
ギャアギャアとうるさいくらい鳴いて、仲間を呼ぶ。
ハチやアリも同様に、えさを見つけたら巣まで戻って、仲間を呼ぶためにダンスをしたり、臭いで仲間を集めたりする。
集団で生きる動物は、そういう風にエサ情報や危険情報を仲間で共有することによって、自らの生存確率を上げているのだという。
だから人間が常に様々な情報を交換するために、毎日たくさんの人と話したり、たくさんのニュースや記事を読んでフェイスブックやグーグルプラスにコメントを書き込むのは、集団で暮らす生物の本能だというわけだ。
人と結びつくために話す
人間は集団で暮らす生き物である。
しかしなぜそうなったかというとそうしないと危険だったからだろう。
たとえばかつての中国やヨーロッパでは、城壁を築いてその中に住むのが普通だった。
都市の周囲に高い城壁を築き、晴れた日は門を開いて城壁の外の農地を耕し、夜になると城壁の内側に戻って門を閉めて寝た。
というのもいつ誰が襲ってくるかわからなかったからだ。
日本でも昔は農家は集まって住むのが普通で、富農は自分の敷地内にたくさんの家族を住まわせたし、自警団のようなモノを結成して農地を守った。
農地は動かせないものだし、作物の栽培には数ヶ月の期間が必要だから、集まって住み、農作物を守る必要があったのだ。
この自警団が武士の起源の一つとされているわけだが、日本でもやはり集団で暮らさないと危険だったわけだ。
そして集団生活を円滑に進めるためにどうしても必要だったのが、意思の疎通であり会話で他人と結びつくと言うことだった。
つまり「私は怪しいものじゃないですよ」と意思表示し、集団を維持するための活動にも参加しないといけない。
その一つがいわゆる「井戸端会議」というやつで、女たちは井戸の周りに集まって、料理の準備をしたり洗濯したりしながら、時間の許す限りおしゃべりをするわけだ。
他人と結びつく目的で話をしているのなら、話の内容は何でも良いわけなので、身の回りのありとあらゆる物に話は及び、そこでバズが発生することになる。
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