展示会や体験イベントは、ファンとの貴重な交流の機会
クチコミで商品を普及させ、売り上げを上げるバズ・マーケティング。
自社の商品やサービスについてのバズ(クチコミ)を広めてくれる人は、一体どこにいるのだろうか。
第一は、向こうから企業側に寄ってきてくれるメイヴン(事情通)やコネクター、バズ・ハブなどという人々だった。
彼らは自分の興味のある分野の情報に関して、非常に敏感であり、貪欲に情報収集を行う。
そして展示会やイベント、さらにお客様窓口などで、商品やサービスについて根掘り葉掘り尋ねてきたりする。
なのでクレーマー扱いされてしまうことも多いが、彼らは決してクレーマーではない。
彼らは自社の商品やサービスの良さを、自分なりの言葉で、周囲に広めてくれる貴重な存在なのである。
バズが広がるには、語り手のエネルギーも重要であるが、彼らほど熱心に語ってくれるユーザーはいないだろう。
なので彼らには常に新しい情報を提供できるように、詳しい資料を用意して配ったり、よくある質問集を作ったり、情報をダウンロードできるように準備しておく必要がある。
また展示会や商品やサービスの体験イベントでは、彼らのどんな質問にも答えられるような人間を待機させ、彼らの専門的な質問に答えたり、要望や改善点を伺う場を作るべきだろう。
そういうイベントによって、彼らは知り合いに語るための、様々な情報や言葉を受け取るし、企業側も彼らから、顧客目線・ユーザー目線の意見を受け取るのだ。
そしてこれは今や国民的アイドルグループとなったAKB48グループが、ずっとやり続けている方法でもある。
AKB48はなぜ、次々と新しいイベントを出せるのか
AKB48ほど、ファンの苦情や要望を熱心に取り入れているグループはないだろう。
アイドルグループというと、タレント事務所やプロダクションがそれぞれのコンセプトにしたがって、若い人を型にはめてしまうのが通例でどのメンバーをどういう風に売り出すのかは、事務所が勝手に決めるのが通例だった。
しかしAKB48の場合は、どうやったら売れるか、設立当初からファンから意見を募って、それを取り入れたイベントをいろいろ行ってきた。
たとえばシングル曲を歌うメンバーは、運営側(事務所側)が勝手に選んでいるが、それはファンが本当に納得できるメンバーになっているのか?そういう苦情や懐疑に対して始まったのが、今やテレビで生中継までされるようになった、『AKB48シングル選抜総選挙』というイベントだ。
選抜総選挙では、ファンクラブ票や劇場中継会員票、シングルCDに付いている投票券など使って投票して、次の曲を歌うメンバーを選抜するのだが、順位や選ばれたメンバーの発するコメントが毎年話題になる。
話題になるというのは、バズが発生していると言うことで、それがさらにAKBの人気を維持するのに役立つ。
また、総選挙でメンバーを選んでも、目立つところに立つのは同じメンバーばかりでつまらないし、一度も選抜されたことがないメンバーにも、光を当てる機会がなんとかできないか、…などという要望に対して発案されたのが、じゃんけんで選抜メンバーを選ぶ『選抜じゃんけん大会』だ。
じゃんけん大会では、誰が勝ち上がるのかも話題になるし、出場メンバーが身にまとう、思い思いの勝負服にも関心が集まる。
じゃんけんでセンターを決めるので、普段は決してセンターに立たないようなメンバーがセンターに立ち、新たなAKB48の魅力を引き出す良い機会にもなっている。
このようなイベントのヒントになっているのが、握手会イベントの際に劇場支配人たちが、ファンから受け取る苦情や要望なのだ。